2018年「副業元年」と言われ、政府が会社員の副業推進に力を入れて2年が経過しましたが副業を許可する企業はまだ極わずかです。なぜ企業が副業の推進に躊躇するのかを一部上場企業で管理職として働いている目線から解説していきます。

副業禁止の理由は3つ

一部上場企業で現役で管理職をしていますが、私の勤める企業でも副業は禁止されたままです。未だに解禁になりそうな気配すらないのが現状です。

なぜ副業を解禁することができないの?
企業が副業解禁に躊躇する理由が3つあります。
- 本業に支障がでる恐れがある
- 情報漏洩リスク
- 労働時間の管理
どれも納得のいく理由ではありますけど何とかなるんじゃないの?って思うような内容です。詳しく解説していきます。
本業に支障がでる

一般的によく言われることですが、副業をすることによって本業がおろそかになり、仕事に支障がでるのではないかと心配されます。
労働時間増による集中力の低下
本業で一日8時間近く働いてから副業でアルバイトをすると当たり前ですが労働時間は増加します。
場合によっては睡眠時間が短くなったりすることも考えられます。
労働時間の増加によって集中力が低下するということは十分にあり得ます。
集中力の低下により生産性が下がります。
副業による一番シンプルなデメリットと言えるでしょう。
人材の流出
本業より副業の仕事内容が良くなってしまい人材が流出してしまうリスクがあります。
人材が流出してしまうことにより本業に支障がでてしまうことも想定できます。
人材の流出は波及性がある場合があります。
職場の同僚などを誘って離職してしまうこともあり、企業からみたリスクはかなり高いものです。
情報漏洩リスク

企業側からみた時に一番怖いのは情報漏洩リスクです。

大事な顧客情報が漏洩してしまったらどうしよう。

情報漏洩防止の誓約書を書かせている企業がほとんどとはいえ実際に責任を負われるのは企業だからね。
私の知人の企業では役職ごとに副業を許可している企業もあります。
企業にとって重要な情報に接触する機会のある社員は副業禁止として重要なポストを与えるようにしているようです。
労働時間の管理

社員の労働時間を管理するのは企業として当たり前のことです。
労働時間については「労働基準法」や「労働安全衛生法」によって法律で定められています。
この中に「残業時間の上限規制」があります。
具体的には一人の従業員について、時間外労働は720時間までが上限です。
また時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満とされています。
正社員が副業でアルバイトする場合、副業時間は残業とは違いますが、労働時間として管理されなくて良いでしょうか?
もし正社員が労働時間と副業で過労となり、精神疾患になってしまったり、最悪の場合、過労自殺なんてことになってしまったら、企業としての責任追及は間逃れないのではないでしょうか。
私も企業の管理職として労働時間の管理もしていますが、現状では自己申告しか方法がないのは事実です。
本業と副業の労働時間の管理をするのは副業解禁の大きな弊害となってしまっています。
企業が副業を禁止する理由のまとめ

コロナウイルスの影響で収入が減ってしまっている方も多いはずです。
企業の経営者、管理者たちも副業解禁をしたいと思っているはずです。
しかし簡単には解禁できない3つの理由を紹介してきました。
- 本業に支障がでる恐れがある
- 情報漏洩リスク
- 労働時間の管理
どれも簡単には解決できませんが、働き方改革が推進される中で近いうちに副業ができる環境が整っていく日が来ると思っています。
中小企業であれば3つの理由を理解したうえで労務管理者に交渉する価値はあるかもしれません。